ペットと引越しの手続き
犬・猫を連れた引越しでは、人の手続きに加えて行政への届出と、移動・新生活のケアが必要です。特に犬は、狂犬病予防法にもとづく登録の変更を30日以内に行う義務があり、これは同じ市区町村の中で引越した場合でも必要です。このガイドでは、動物別の手続き、同一市区町村内と別市区町村での違い、マイクロチップの特例制度、そして引越し当日と新居でのケアまでを整理しました。
動物別・必要な手続き
| 動物 | 必要な届出 | 窓口 | 期限 |
|---|---|---|---|
| 犬 | 登録事項の変更(住所変更) | 新住所地の市区町村(保健所・生活衛生課など) | 30日以内 |
| マイクロチップ登録済みの犬・猫 | 登録情報(住所)の変更 | 環境省の指定登録機関(オンライン) | 30日以内 |
| 猫(マイクロチップなし) | 届出は不要 | — | — |
| 特定動物(危険な動物) | 飼養・保管の変更許可(施設の所在地を管轄する自治体) | 新住所地の都道府県・政令市 | 引越し前に申請 |
同一市区町村内か、別の市区町村か
犬の登録は市区町村が管理しています。そのため、引越し先が同じ市区町村か別の市区町村かで、手続きの窓口が変わります。ただし、どちらの場合も住所変更の届出そのものは必要です。「同じ市の中だから何もしなくていい」というのは誤りなので注意してください。
| 項目 | 同じ市区町村の中で引越し | 別の市区町村へ引越し |
|---|---|---|
| 届出の要否 | 必要(住所変更の届出) | 必要(住所変更の届出) |
| 窓口 | 今までと同じ市区町村の窓口 | 新住所地の市区町村の窓口 |
| 鑑札 | そのまま使えるのが一般的 | 新住所地の鑑札に交換する自治体が多い(旧鑑札を返す) |
| 期限 | 30日以内 | 30日以内 |
別の市区町村へ移るときは、旧住所地で手続きが要るか新住所地だけでよいかが自治体で異なります。多くは新住所地の窓口に旧鑑札を持参すれば完了しますが、念のため引越し先の市区町村の案内を確認してください。
犬の登録変更の進め方
持ち物
- 鑑札(旧住所地で交付されたもの)
- 狂犬病予防注射済票(直近のもの)
- 飼い主の本人確認書類
- 登録事項変更届(窓口にあります。自治体によってはオンライン申請も可)
手順
- 引越し後30日以内に、新住所地の窓口へ
窓口は市区町村によって保健所・生活衛生課・動物愛護センターなどに分かれます。自治体によっては一部の動物病院でも手続きできます。 - 変更届を出し、鑑札を引き継ぐ
別の市区町村へ移った場合は旧鑑札を返し、新しい鑑札を受け取るのが一般的です。手数料は無料〜数百円程度です。 - 狂犬病予防注射は毎年続ける
引越しの時期に関係なく、狂犬病予防注射は年1回必要です。毎年春(4〜6月)の集合注射か、動物病院での接種で、注射済票を更新します。
再交付を受けられます。鑑札の再交付手数料は多くの自治体で1,600円、注射済票は340円が目安です(金額は自治体で異なります)。引越しの登録変更の前に紛失に気づいたら、先に窓口へ相談してください。
マイクロチップの特例制度(届出のしかたが変わる)
2022年6月から、販売される犬・猫にはマイクロチップの装着と、国(環境省の指定登録機関)への登録が義務づけられました。すでに飼っている犬・猫への装着は努力義務です。引越しでは、登録している犬・猫の登録情報(住所)を30日以内にオンラインで変更します(手数料はかかりません)。
ここで重要なのが「狂犬病予防法の特例制度」です。この制度に参加している市区町村では、犬のマイクロチップ登録情報を変更すると、それが鑑札の代わりとみなされ、市区町村での住所変更届が別途不要になります。参加していない市区町村では、マイクロチップの登録変更に加えて、従来どおり市区町村への届出も必要です。
| 引越し先の市区町村 | 必要な手続き |
|---|---|
| 特例制度に参加している | マイクロチップの登録情報を変更すればよい(市区町村への別の届出は不要) |
| 特例制度に参加していない | マイクロチップの登録情報の変更+市区町村への住所変更届の両方 |
引越し先が参加自治体かどうかは、環境省の「犬と猫のマイクロチップ情報登録」サイトにある参加市区町村の一覧で確認できます(一覧は随時更新されます)。マイクロチップを付けていない犬は、この特例は使えないため、通常どおり市区町村へ届け出ます。
引越し前の準備
- かかりつけ医で健康を確認し、診療情報提供書(紹介状)をもらう
- 狂犬病予防注射・混合ワクチン・フィラリア予防などを最新の状態にしておく
- クレート・キャリーに普段から慣れさせておく(中で食事や昼寝を)
- いつものフード・水・トイレ用品を1〜2週間分用意する
- 迷子に備え、首輪に新住所の連絡先タグを付けておく
運搬の手段(自家用車・電車・飛行機・専門業者)と費用の比べ方は、ペット引越しの料金と手段のガイドにまとめています。手段によって予約や規格の準備が要るので、早めに決めておくと安心です。
引越し当日のケア
- 朝食は控えめに
移動中の車酔いを避けるため、当日の朝食は通常より少なめにします。 - 搬出・搬入の間は別室か預け先へ
玄関の開放と大きな音でストレスがかかります。空き部屋・浴室に隔離するか、親族宅・ペットホテルへ一時的に預けます。 - 移動中は温度に注意
夏の車内は高温になります。エアコンを効かせ、短時間でも置き去りにしないでください。長距離は2〜3時間ごとに休憩し、水を与えます。 - 新居では一部屋から慣らす
普段のケージ・寝床・トイレを置いた一部屋で落ち着かせ、少しずつ行動範囲を広げます。
新居での順応
- 1〜2週間は、いつもの生活リズム(食事・散歩・遊び)を保つ
- 新しい匂いや音に慣れるまで、来客や大きな音は控える
- 食欲不振・下痢・隠れる様子が3日以上続くときは獣医に相談する
- 猫は脱走に注意。慣れない環境では外へ出たがることがあるため、2〜4週間は完全室内で過ごさせる
- 犬は散歩コースを少しずつ広げ、周囲のペット可の場所を把握する
賃貸のペット可物件で気をつけること
- 契約書のペット規定(種類・大きさ・頭数・追加敷金)をよく読む
- 入居前後に近隣へあいさつし、鳴き声やにおいへの配慮を伝える
- 共用部(廊下・エレベーター)でのリードや抱き上げのルールを確認する
- ペット飼育の追加敷金は家賃1〜2か月分が一般的。退去時に消臭・消毒費用がかかることがある
- 爪痕・におい対策を日ごろから行い、退去時のトラブルを防ぐ
ペット可物件の探し方はペット可物件の探し方ガイドで、引越し後の環境変化によるストレスへの対処はペットの引越しストレス対策で詳しく扱っています。
多頭飼い・特殊なペットの場合
- 多頭飼いは、賃貸契約書の頭数の上限を必ず確認する
- 一定頭数以上の犬・猫を飼う場合、市区町村への届出が必要な自治体がある
- 爬虫類・両生類・鳥は、輸送と新居の温度管理を事前に確認する
- 特定動物(危険な動物)は、飼養施設ごとに都道府県知事や政令市長の許可が必要で、引越しで施設が変わるなら新住所地での変更の許可申請が要ります(無許可での変更は罰則の対象)。詳しくは環境省「特定動物(危険な動物)の飼養又は保管の許可について」を確認してください
- 水槽(観賞魚)は水質・水温の維持が難しいため、専門業者か短時間での移動を選ぶ
ペットのいる新居で見落としやすい「電気」
ペットのいる家では、留守番中も冷暖房を切れないことが多く、電気の使い方が人だけの世帯と変わります。引越しの準備でバタバタしているうちに新居の電気・ガスの開通が後回しになり、入居初日に空調が使えない、という事態は避けたいところです。引越し総合ナビでは、新居の電気・ガスの開通手配のご相談を電話で受け付けています(水道・インターネットの手続きはご案内のみ)。旧居の電気・ガスの停止は、契約中の各事業者へ引越し前に直接ご連絡ください。
よくある質問
犬の引越しで必要な手続きは?
狂犬病予防法にもとづき、犬の所在地が変わったら30日以内に登録の変更を届け出ます。別の市区町村へ引越した場合はもちろん、同じ市区町村の中での引越しでも住所変更の届出が必要です(後述のマイクロチップの特例制度に該当する場合を除きます)。旧住所地で受け取った鑑札と、狂犬病予防注射済票を持って、新住所地の窓口(保健所・生活衛生課・動物愛護センターなど)で手続きします。届出を怠ると20万円以下の罰金の対象です。
マイクロチップを付けていれば市区町村の手続きは不要?
自治体によります。犬にマイクロチップを付けて国(指定登録機関)に登録している場合、「狂犬病予防法の特例制度」に参加している市区町村では、マイクロチップの登録情報(所在地)を変更すれば、それが鑑札とみなされ、市区町村での住所変更届は不要になります。参加していない市区町村では、従来どおり市区町村への届出も必要です。引越し先が参加自治体かどうかは、環境省のマイクロチップ登録サイトの一覧で確認できます。
猫の手続きは必要?
猫には犬のような登録義務はありません。ただしマイクロチップを装着し、環境省のデータベースに登録している犬・猫は、引越しから30日以内に登録情報(住所)の変更が必要です。変更はオンラインででき、手数料はかかりません。マイクロチップを付けていない猫には、行政への届出義務はありません。
鑑札や注射済票をなくしてしまったら?
再交付を受けられます。鑑札の再交付手数料は多くの自治体で1,600円、注射済票の再交付は340円が目安です(金額は自治体によって異なります)。引越しの登録変更の前に紛失に気づいたら、まず旧住所地または新住所地の窓口に相談してください。マイクロチップの特例制度を使う場合は鑑札の代わりになるため、扱いが変わります。
引越し当日、ペットはどうしておく?
搬出・搬入の間は玄関が開けっ放しになり、大きな音も続くため、別室に隔離するか、親族宅・ペットホテルに一時的に預けるのが安全です。移動は涼しい時間帯を選び、車内に置き去りにしないでください。新居では、まず一部屋に普段のケージ・寝床・トイレを置いて落ち着かせ、少しずつ他の部屋に慣れさせます。運搬手段と費用は、ペット引越しの料金ガイドで詳しく扱っています。
賃貸のペット可物件で気をつけることは?
「ペット可」でも、頭数・種類・大きさに条件があるのが普通です。契約書のペット規定を確認し、不明点は管理会社に問い合わせてください。ペット飼育で敷金が家賃1〜2か月分ほど上乗せされることが多く、退去時には通常の原状回復に加えて消臭・消毒の費用がかかることがあります。多頭飼いや大型犬、特殊なペットは事前の申告が必要なことが多いです。
引越し先の動物病院はどう探す?
引越し前に、今のかかりつけ医から診療情報提供書(紹介状)や予防接種の記録を受け取っておきます。新住所地の動物病院を事前に調べ、引越し後は早めに一度受診して、緊急時に頼れる関係をつくっておくと安心です。夜間の救急に対応する病院も確認しておきましょう。
新居の電気・ガスの開通受付
ペットとの引越しに合わせて、新居の電気・ガスの開通手配についてご相談いただけます(水道・インターネットはご案内のみ)。担当者より折り返しお電話にてご連絡いたします。
本フォームの対象範囲は、新居の電気・ガスの開通取次と、水道・インターネットの開始手続きのご案内です。旧居の停止・解約手続きは現在ご契約中の各事業者へ直接ご連絡ください。補助金の申請代行・申請相談は承っておりません。
- 1 ご相談内容
- 2 引越し情報
- 3 ご連絡先
本ガイドの根拠と最終確認
本ガイドは以下の一次情報をもとに編集しています。各URLは記載の日付時点で内容を確認しました。犬の登録の窓口・手数料・特例制度への参加状況は市区町村ごとに異なるため、手続きの前に引越し先の市区町村の案内をご確認ください。
- 環境省「犬と猫のマイクロチップ情報登録について」/登録サイト(2026-07-15確認)— 登録情報の変更・狂犬病予防法の特例制度に参加する市区町村一覧
- 厚生労働省「狂犬病について」(2026-07-15確認)— 狂犬病予防法にもとづく犬の登録・予防注射・特例制度
- 各市区町村の生活衛生課・保健所・動物愛護センター(犬の登録変更・鑑札の交付窓口)